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執筆者の写真Toshihiro Doi

ハードとソフト、何より人

大分もようやく梅雨入りし、今日は田植えだ。米作りを始めてわかるのは、田植えまでが一番大変だ、ということ。1月からスタートして、田おこし、畔の草刈り、池の草刈り、水まわりの整備、水を入れてから荒掻き、代掻きと、たくさんの工程を経てようやく田植えだ。


この工程を丁寧に一つずつ行わないとうまくいかない。とても手のかかる繊細な仕事。そして年に一度のチャンス、結果はいろんな要素が複雑に絡み合い、11月にわかる。この難しさがなんとも楽しい。教育の考え方にも通じるところが多くある気がする。






今週のブログは「ハードとソフト、何より人」とした。GIGAスクール構想やコロナウイルスの対応で、全国の自治体や学校で、急ピッチで環境整備が進められている。そんな中で感じたことを書いてみようと思う。


休校は開け、子どもたちは学校に戻ってきてはいるが、実態は厳しく、先生たちの負荷も尋常ではない。感染防止のために施している対策やそれにかかる時間、すり減らしている神経はかなりの負荷になっている。


子どもたちも同様で、暑い中でのマスクの着用や、静かに食べる給食、追い込まれている授業や、毎日の膨大な量の宿題、予習、復習。週末を指折り数える子どもたちの様子は、親としてもとても心配になる。新しい生活様式、と簡単にいうが現実はそんなに甘くない、と感じている。


第2波に備え、6月議会で次々と環境整備の予算が決まっている。このブログでも何度も書いているが、さらにコロナ対策が生じたことで混乱はひどくなっている。コロナ対策でのオンラインでの教育活動と、今回のGIGAスクール構想は、目的が違う。なので、それぞれにビジョンをもって環境構築にあたらなくてはいけないのだ。





家庭と学校をつなぎ、学びや関係を継続するためのコロナ対策のICT環境整備と、新しい教育のあり方を構築していくGIGAスクール構想。そこが混在していてややこしさが増している。どちらも明確にビジョンを持って、教育委員会や学校現場、先生たちや保護者、関わる企業、子どもたちも共通認識を持って進めていく必要がある。


まずは整備する側がきちんと目的を明確にし、ゴールイメージを持ちながらスタートすることが大切だ。そしてそのビジョンは具体的な授業イメージであり、子どもたちの学びの姿までのブレイクダウンだ。そこがあって初めて、端末の選定や、インフラのプランが作られていく。


そして次に、必要なソフトを選ぶ段階に進んでいく。これまで通りの一斉授業を、効率的に進めたければ授業支援ソフト、子どもたちの個別最適化を後押しするような学びを目指すのであればAIドリル、創造的なアウトプットの姿をめざすのであれば、必要なアプリケーションはこれ、といったように自ずと決まってくる。この先の5年、10年をイメージするのだ。


「これは必要ですか?」と聞かれたら、「どんな授業がしたいんですか?」と問い返す。必要なソリューションはすでにたくさんあるが、肝心のビジョンがないことには、選定のしようがない。





そして何より大切なのは「人」。その自治体の教育のビジョン、イメージに合わせた授業を行うために、どうやって人材を確保し、育成していくか。そしてそのサポートに、どんな人が必要なのか。ここにも同じように予算をかけていく必要がある。導入後の研修や、管理・運用、現場での支援、長期的に関わって育成できる体制づくり。機器を整備してからの利活用の推進にこそ、時間とコストをかけ、じっくり進めていく必要がある。入れて終わりの時代はもう過ぎた。そこからのスタートである。


新しい教育の転換期に必要なのは、長期的なビジョンと適正な予算、先生たちのマインドセットを無理なく変えていく仕組みだ。幸いにも機器の納期は下がっている、この期間にこそ、もう一度丁寧にその部分を議論していきたい。

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